2025.07.16

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アウディR8 エアコン修理 – 圧力センサー交換

開催日時: 2025年7月3日

開催場所: モータライズ

アウディR8 エアコン修理 – 圧力センサー交換

1. 症状と診断

今回入庫したのは2012年式のアウディR8です。オーナー様からの主訴は「エアコンの冷えが悪く、たまに全く冷えなくなる」というものでした。初期診断では以下の症状が確認されました。
・エアコンの冷気が不安定(片側が温風に切り替わる)
・コンプレッサーの作動は良好
・エアコンガス量/アテショナルファンの作動点検

2. 原因の特定

診断機からの実測値と症状から、エアコンシステムの圧力センサーの故障が疑われました。圧力センサーはエアコンシステム内の冷媒圧力を監視し、適切な動作範囲を保つために重要なコンポーネントです。詳細検査のため、以下の手順で確認作業を行いました。

1.マルチメーターを使用して圧力センサーの出力電圧を測定(正常値: 0.5V〜4.5V)
2.実測値が0.2Vと低電圧を示した
3.圧力センサーへの配線状態を確認(腐食や断線なし)
4.最終的に圧力センサー自体の故障と判断

3. 修理手順

準備物

・アウディR8用エアコン圧力センサー

・エアコンガスリカバリー装置

・トルクレンチ

・新しいOリング

・コンプレッサーオイル(PAG油)

修理ステップ
1.安全のため、バッテリーのマイナス端子を外す
2.専用の回収装置を使用してエアコンガス(R134a)を回収
3.圧力センサーの位置を特定(R8の場合はエンジンルーム左側のコンデンサー付近に位置)
4.センサーコネクターを取り外す(ロックタブを押しながら慎重に引き抜く)
5.専用ソケットを使用して古いセンサーを取り外す(トルク: 25Nm)

6.取り付け部の清掃

7.新しいOリングにコンプレッサーオイルを薄く塗布
8.新しい圧力センサーを取り付け(トルク: 25Nm)
9.電気コネクターを確実に接続
10.エアコンシステムを真空引き(30分間)
11.適正量の冷媒(R134a)を充填(R8の仕様: 750g)
12.バッテリーのマイナス端子を再接続

4. 動作確認

修理完了後、以下の確認作業を実施しました
・診断機を接続
・エアコンを作動させて冷却性能を確認(吹き出し口温度: 約7°C)
・圧力ゲージで高圧側/低圧側の圧力を確認(正常範囲内)
・冷媒漏れがないことを確認
・最終テストドライブ(様々な条件下でのエアコン動作確認)

5. まとめと考察

今回のアウディR8のエアコン不具合は、圧力センサーの故障が原因でした。この部品は比較的小さいですが、エアコンシステム全体の動作に重要な役割を果たします。
R8のような高性能車のエアコンシステムは複雑で、通常の車両よりも効率的な冷却が求められます。特に夏場は圧力センサーへの負荷が大きくなるため、不具合が発生しやすくなります。
オーナー様には定期的なエアコン点検をお勧めしました。特に以下のような兆候があれば早めの点検が望ましいことをお伝えしました。
・冷房効果の低下
・エアコン作動時の異音
・冷媒圧力の異常な上昇/低下

6. 技術メモ

アウディR8の圧力センサーは、他のアウディ・VWグループの高性能モデルと共通の部品が使われていることが多いです。ポルシェ911(991)や一部のランボルギーニモデルでも同様の部品が使用されています。
注意点:センサー交換後は必ずエアコンシステムの真空引きを十分に行い、適正量の冷媒を充填することが重要です。特にR8の場合、冷媒量が少なすぎても多すぎても性能に影響します。

7. 最後に

今回のようなエアコントラブルは、夏場に多く発生します。特に輸入車の場合、部品の取り寄せに時間がかかることもありますので、違和感を感じたら早めの点検をお勧めします。
当店ではアウディをはじめとする欧州車の修理に精通したスタッフが対応いたします。エアコントラブルだけでなく、様々な症状に対応可能ですので、お気軽にご相談ください。